〇「哲学的自己変容の八段階論」(コスモスライブラリー)刊行!諸富が20代から30代前半に記した初期論考集ついに刊行!!
本書は、一人の人間が、〈ほんとうの生き方〉を、単に観念的にでなく、実際の生き方としてラディカルに(根源的かつ徹底的に)問い求めぬいたとき、そこで何が起きたかを–そこに何が立ち現れてきたのかを–記述し分析したものである。
「一人の人間」とは、私のことである。十四歳から二十一歳の七年間、私は〈ほんとうの生き方〉を徹底的に問いつめた。七年間、〈人生の時間〉を停止させて、ただひたすら問い続けた。発狂寸前に追い込まれながら、私は、自分という一個の身体において〈真理〉が現成するのを見た。キルケゴールも言うように、人間の普遍的真理は徹底的に生きた個人を素材としてのみ探究しうる。七年間の極限的苦悩において、私は自らを真理探究の〈素材〉へと改造したのである。そしてその個別の現象をさらに七年をかけて「主体的経験の現象学」という方法によって普遍化・理論化し、博士論文にまとめて学位を得た。本書は、原稿用紙換算七千枚のボリュームの博士論文の重要箇所と、その一般的適用を試みた「自己変容の八段階論」を記したものである