「気づきと学びの最高のアプローチ」
カウンセリング界最強の技法
11月12日(土)13日(日)
「プロセス指向心理学」体験ワークショップ
開催迫る!!
気づきと学びの心理学研究会 アウエアネス、今年度最後の締めくくりのワークショップは、「気づきと学びの最高のアプローチ」「カウンセリング界最強の技法」、すなわち「プロセス指向心理学」体験ワークショップです。
カウンセリングや心理療法、コーチングには、実にさまざまな方法があります。
私は、ロジャーズ、傾聴、フォーカシングなどをしっかり学んだあとで、プロセス指向心理学のエッセンスを身に着けることが、カウンセリングや心理療法、コーチング、スピリチュアルな学びの、もっとも優れた道であると思っています。
そう、その意味で、「人生に生かす心理学」を学ぶ方にとっても、カウンセリングや心理療法を学ぶ方にとっても、最終的に行き着くものが、プロセス指向心理学である、と思っています。
しかも、なんだか楽しくワークをしているうちに、「いつの間にか」深い気づきを得ることができる内容になっています!!
「気づきと学びの心理学研究会」年度最後のプログラムとして、プロセス指向心理学をおこなうのは、そのためです。
プロセス指向心理学。
それは、ロジャーズのカウンセリングやフォーカシングのように繊細でユング心理学のような深みとを備えており、さらに、ブリーフセラピーのような具体的かつ実践的な有効性もあわせもっています。
そのうえ、すべてを「シンクロニシティ」のつながりの中で見ていく「カウンセリングの秘技」でもあります。
プロセス指向心理学をきちんと学ぶことなくして、カウンセリングを最後まで学んだとはとても言えない、と私は思っています。
プロセス指向心理学は、まさに、「気づきと学びの最高のアプローチ」「カウンセリング界最強の技法」と言うにふさわしい方法なのです。
このワークショップでは、ミンデルのプロセス指向心理学を、その比較的前期の考え(ドリムボディワーク、一次プロセス、二次プロセス、エッジ)から、最新の考え(大地の心理学、宇宙の心理学、究極の偉大な知恵=「プロセス・マインド」)、そしてコーマワーク(昏睡状態のワーク)に至るまで、そのエッセンスを、はじめての方でも誰にでもわかり、ご自分の人生やカウンセリングや教育、医療などの仕事に生かすことのできるように、とことん、わかりやすく、とことん楽しく教えていきます!
プロセス指向心理学ははじめて!という方でも、どなたでも気軽に参加できます。
プロセス指向心理学という「魔法のように魅力的で、実践的な方法」そしてその考え方を体験することで、あなたの人生や、カウンセリング(教育、医療)などの仕事は、確実に、大きく変わり始めるはずです!
年に1回のこのワークショップ、ぜひご参加ください!
昨年度参加された方も、繰り返し学ぶことで、気づかれることが多いと思います。反復学習で、はじめてほんものの学びを得る方が多いのです。
といっても「プロセス指向心理学」って何なの?もう少し知りたい、という方の、ために、そのユニークな考え方を以下に少し、紹介しておきます。
私たちを困らせる“問題”や“悩みのタネ”は尽きることがありません。
重い病。肩コリや頭痛といった慢性の症状。タバコやアルコール、ギャンブルなどの“やめたいけど、やめられない病”。人間関係の不和やもつれ。子どもの非行や不登校。家庭内暴力。夫婦の不和、離婚・・・あげていけばキリがありません。このような、誰でも“そりゃたいへんだ”と思う問題のほかにも、ちょっとした“気がかりなこと”まで含めると、私たちの人生から“悩みのタネ”がなくなることなどないように思えます。
プロセス指向心理学では、“人生のプロセス(流れ)が、私たちに必要なことはすべて運んできてくれている”と考えます。
問題や悩みのタネ、人間関係のトラブルや病いなどを“自分が今、気づく必要のある大切なことに気づかせてくれようとしているもの”“人生の大切なメッセージを運んできてくれるもの”、すなわち、私たちに何か、大切なことを教えてくれている“人生の師”として“敬う”のです。
人生の深刻な問題は、どれほど“解決”しようとしてもそう簡単に“解決”できるものではありません。どれほど“やっつけてしまおう”としてもそう簡単にやっつけてしまえるものではありません。
プロセス指向心理学では、人生で起きてくるさまざまな問題や悩みのタネ、トラブルなどを、単に解決すべき“問題”とみなすのでなく、“これだけ解決しようとしてもできないということは、この問題は私に、何か大切なことを教えてくれようとしているにちがいない”“気づく必要のある大切なメッセージをこの問題は運んできてくれているにちがいない”と考えて、その問題や悩みから何かを“学ぼうとする姿勢”、そこから何かに“気づこうとする姿勢”を身につけていくのです。
プロセス指向心理学とは何か。
一言で言うとそれは、あたかも大河のような、この人生の流れ(=プロセス)が、今、自分に何を運んできてくれているか、それに気づき目覚めていくための総合的なアート(技芸)。可能な限りの“気づき(自覚=アウエアネス)”をもって人生を生きていく技術のことです。
これを学べば、人生のさまざまな問題への対処法を見出せるばかりでなく、創造性を高めたり、幸運を呼び寄せ不運を避けるのにも役立つと言われています。また、ほかの方法ではダメだった慢性の症状の治癒に役立ったり、ガンになるのを防いだり、といった代替医療や予防医学の側面もあり、昏睡状態の人とのかかわり方を学ぶこともできます。
創始者は、現在米国ポートランド在住の心理療法家、アーノルド・ミンデルです。
ミンデルはもともと、ユング派の分析家です。最初はユング派らしくもっぱら“夢分析”に取り組んでいたようですが、みずから慢性疾患を抱えていたこともあり、それに関心を寄せているうち、“身体症状=夢の反映”と見て、身体への取り組みを中心に据えるようになりました。
またミンデルは、“心の問題と社会の問題、この世界の問題とは分かち難くつながりあっている”と考え、黒人と白人の葛藤をはじめとする人種問題、環境保護派と開発推進派の葛藤の問題、ホームレスやエイズ患者の扱いの問題、アジア人の第二次世界対戦にまつわる心の傷や葛藤などをテーマにした、数十人から数百人による“深層グループアプローチ”(ワールド・ワーク)をおこなうようになりました。
さらにそればかりでなく、ミンデルは、人間関係のもつれやアルコールやタバコなどの“やめたくてもやめられない病(~依存症)”“知らず知らずのうちにおこなっているクセや動作”などもすべて、私たちの心の深い層とつながっていると考え、もはや狭い意味でのユング派にとどまることができなくなり、これらすべてを総合した新たなアプローチの創造へ向かっていきました。ユング研究所から抜け出て独自のアプローチを創造・展開させていったのです。
その結果生まれた“人生における気づきを高める、総合的なアート(技芸)”がPOP=プロセス指向心理学です。それは、一言で言えば、“気づき(アウエアネス)”を得るための、ありとあらゆる手がかりに開かれた総合的アプローチ。聴覚(音や言葉)、視覚(夢やイメージ)、身体感覚、動作、身体症状、人間関係、世界とのかかわり、一見偶然起こった出来事など、ありとあらゆる媒体に開かれ、あらゆる角度からそこで起きていることを捉えていきます。気づきを高めるのに使えるものなら何でも使うのです。
したがって外から見れば、静かに瞑想しているように見えることもあれば、楽しくダンスを踊っているように見えることもあります。
POPでは、この人生には目には見えないけれど“個を超えた、大きな波”もしくは“大きな河の流れ”のような力、すなわち“プロセス”が働いている、と考えます。個としての“私の意思”、つまり、こうしたい、こう生きたいという希望や願望を超えて、そうしたこちら側の思惑とは無関係に、それを超えて向こうから“人生の波”や“流れ”もしくは“うねり”“うずまき”のような力がやってくる。そしてその何かの力によって、ある方向に導かれていく。ある方向に運ばれていく。そんなところが、この人生にはある、と言うのです。
ご自分のことを考えていただきたいのですが、自分が今、なぜ、このような人生を生きているのか。なぜこのような職業につき、このような生活を送っているのか。誰と出会い、誰と出会わなかったのか。そんなことを考えるとそこに、自分の意思を超えた何かの力、さまざまな“偶然”や“出会い”“ご縁の力”を認めずにいられないはずです。それらが幾重にも重なって、私たちの人生はつくられていくのです。見方によっては、どの両親のもとに生まれたかさえ、あなたの魂が何かの力に運ばれて、あなたの両親を選んだのだ、とも言えるのです。
この人生には、人為を超えた大きな力、目に見えない“うねり”や“波”“流れ”“うずまき”のような力が働いているのです。プロセス指向心理学で言う“プロセス”とは、この人為を超えて働いている“人生の大きな流れ=プロセス”のこと。そしてこの“人生の流れ=プロセス”は、私たちに必要なものはすべて運んできてくれているはずだから、それが今、何を運んできてくれているのか、そのことに気づけ、自覚的に生きていけ、というのです。
“人生の流れ=プロセス”は、まずは目に見えない仕方で、私たちに何かを運んできます。そしてこの目に見えない“うねり”や“波”“流れ”は、次第に目に見える“形”をとってききます。その“形”となったのが、“人との出会い”であり、“映画や文学作品との出会い”です。またそれは、“イメージ”や“夢”であり、“病”や“身体症状”でもあります。
したがって、こうしたさまざまな媒体を通してそこで起きていることに従い、人生の流れに注意を向けて一瞬一瞬を楽しんでいれば、そうしているうちに、何か、とても大切な、気づく必要のある貴重なメッセージに気づけてしまう。POPとは、そんな心理学です。
私たちはこのように、既に“形”をとった夢やイメージ、身体症状などを通して、人生の流れ=プロセスが、今自分に何を運んできているか、それに気づくこともできます。しかしまた同時に、微細な感覚を磨けば、まだ“形”になっていない人生の“波”や“うねり”“流れ”に自覚的に注意を向けることもできるようになっていきます。そしてそれができるようになれば、これから人生で起こりうることとつながることができ、不運な出来事を避けたり幸運を招き寄せたりできる。あるいは、これから自分がどんな病にかかりそうかを感じ取ることができ、それを予防することもできる。POPで“見えない次元”で働いている人生の“波”や“うねり”に対する感覚を磨いていけば、そんな力を身につけることもできる、と言われています。POPは心理学ですが、広い意味での“人生術”でもあり、やはり人生の“見えない次元”とのつながりを開く“易経”や“タロット”“占星術”などと重なる部分もあります。
だからでしょうか。POPのセラピーの実際は、どこか“軽やか”です。たしかにPOPは、重い病や慢性の身体症状、やめたくてもやめられない病、人間関係のトラブル、暴力などといった、きわめて重たい“問題”や“悩みのタネ”に着目します。これらの、人生の暗い側面、人生の“闇”の世界に入り込み、そこから大切なメッセージを得ていくのです。
3・11の大震災で、いろいろなことを感じ、考えられた方も少なくないと思います。
その中で、私がこころにとどめておきたいこと、
それは、
私たち無力な人間にできること
それはただ、「今、この瞬間をこころを込めて生きる」
ただ、このことだけだ、ということです。
「人生で、一番大切なことって何だろう」・・・
そんなことを自分に問うていったとき、出てきた答えが
「今、この瞬間をこころを込めて生きる」
やはりこのことなのです。
そんな、思いと、たましいのこもったワークショップをおこないます。
ぜひみなさん、ご参加ください!
日程・会場
■2011年11月12日(土)・13日(日)
「気づきと学びの最高のアプローチ」
「カウンセリング界最強の手法」
プロセス指向心理学体験ワークショップ
【講師】 諸富祥彦
明治大学文学部教授、日本トランスパーソナル学会長、臨床心理士
【場所】 都内
* 会場は問い合わせのあった方にご連絡します
【参加費】 参加費28,000円
*アウエアネス会員2,000円割引
-昨年までに本研究会に参加された方の割引
*日本トランスパーソナル学会会員1,000円割引
申し込み先
1)ご希望のワークショップ名
2)お名前
3)郵便番号・住所
4)連絡先(電話、FAX、Eメールなど)
5)トランスパーソナル学会会員、アウエアネス参加有の場合はその旨
をご記入の上、メール、FAX、郵便のいずれかでお申し込みください。
気づきと学びの心理学研究会<アウエアネス> 事務局
郵便の場合:〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学14号館6階B611
「気づきと学びの心理学研究会事務局」Eメールの場合
*FAXの場合
03-6893-6701
年に1回しか開催しないワークショップ、みなさん、ぜひおこしください!
さて
以前のメッセージで私は、こう書きました。
3・11の 震災をきっかけに、多くの方々が
「自分を見つめ直した」
「人生を、生き方を、もう一度、考え始めた」
「これまでとは、人生の流れが変わり始めた気がする・・・」
そんなふうに語られています。
多くの人にとって、あの震災は
「生きることの意味」を、
「いのちが与えられていることの意味」を、
改めて考えさせられる出来事だったのではないでしょうか。
「私たちは、誰もが、一人残さず、死ぬ」
「そしてその死は、突然、訪れるかもしれない」
「この世のでの“私”は、突然、存在しなくなるかもしれない」
この現実を見つめながら、自分の生き方を根本から見つめなおされた方も少なくないのではないでしょうか。
私にとっても、そうでした。
そして
「本当に大切なことを伝えたい」
そんな思いがワーッと込み上げてきて、このニケ月くらい、ほとんどトランス状態で、何かに憑かれたような状態で、原稿を書いていました。
さて、そんな思いを抱きながら書いた本の第一弾が
いよいよ
明日から先行発売の
『悲しみを忘れないで』(WAVE出版)です。
たましいのこもった渾身の一作です。(WAVE出版)です。
たましいのこもった渾身の一作です。
ひと言
ひと言
こころを刻み込むように書きました。
ぜひみなさん、お手にとられてください。
また大好評の『男の子の育て方』につづいて多くの方に読んでいただいているのが『女の子の育て方~「愛され力」+「自立力」=「幸福力」。0~15歳児の親が必ずしておくべきこと。~』 です。わが娘にしあわせにってほしい・・・と願うすべての親御さんに「女の子がほんとうに幸せになるための、とっておきの秘訣」をわかりやすく伝えてあります。自分一人でも生きていける「自立力」と、「愛され力」の二つが、女の子の幸せのキーワードです。
また、青春出版から
『子どもの心を救う親の「ひと言」』が発売になりました!
私がカウンセラーとして、親御さんとお会いしていると
一番多い質問は
「先生、こんな時、親として、何と言ってあげたら、いいんですかね」
という質問です。
私が「こんなふうに言ってみたら、いかがですか」
とアドバイスしている内容を集めたのが、この本です。
子育てについて、これだけ具体的で、有益な本はなかなかない、という自信作です。
さらに、ぎょうせいから
私が編集代表をして、『5巻シリーズ本 決定版 チャートでわかる! カウンセリング・テクニックで高める『教師力』学校現場で使えるカウンセリングテクニック』が発売開始!
このシリーズのポイントは何と言っても
「チャートをぼーっと見ているだけで、どんなとき、どうすればいいか」わかること!
まさに「実践的な学校でのカウンセリングの決定版!」です。
ぜひ、現場の先生方はお役立てください。
3巻は、ふつうの学級での特別支援の具体策。
5巻は、学校で使えるチーム支援の具体策
カウンセリング界最強の技法 プロセスワークを学校問題の解決にこう使う!
などの、なかなかすごい内容になっています。
「チャートで、わかる!」「みているだけで、どうすればいかがわかる!」がこのシリーズのウリです。
ぜひ学校問題の解決にお役立てください
なかなか充実した内容で
しばらくは、このシリーズより学校現場で本当に使えるカウンセリング関連の本は、当面出ないと思います!(自画自賛)それくらいの自信作です!
明治図書からは、
『「ほんものの自己肯定感」を育てる道徳授業』が、小学校編、中学校編が同時発売です!
自己肯定感とは何か
自己効力感、自尊感情、自己有用感とはどのような関係にあるのか
それを育てるのはどうしたらいいのか、図で示しました。
また,
まったく違う系統ですが(笑)
8月に発売したばかりの
『あなたが結婚できない本当の理由 3日でできる自己改造術』 (アスキー新書 196)
自分でいうのもなんですが、この本の「あとがき」は、結構いいですよ!
結婚指南本で「こうすれば結婚できる! 知恵とハウツー」が満載ですが、諸富の本は、どっこい、それでは終わりません。
くわしくお読みいただくとして、
「あなたがまだ、結婚していないのは、あなたの魂が、あなたを守るためにそうさせてきた」のかもしれないのです!
婚活疲れのあなたには一言
「あなたーは、しあわせになる。 だって、つらいこと、こんなにがんばった♪」
『ホンマでっかテレビ』などに出演されている牛窪恵さんとの共著『【年の差婚】の正体 ~なぜ同世代に惹かれないのか~ 』(扶桑社新書)
『明治大学で教える「婚育」の授業』(青春出版)
も絶賛発売中です
この本『「とりあえず、5年」の生き方」』には、さまざまな書き込み式ワークショートも入っています。書くだけで、自分を見つめる「セルフ・カウンセリング」の効果があるものです。
この本「読むだけで心のクヨクヨがふっきれる22の方法」は、人の目を気にせず、自分らしく生きるための技術を、わかりやすく、さらっと伝えてあります。
だけど、読んでいただくと、わかりますが、結構深い内容も書いています。
カウセリングを学んでいる方、教えている方、カウンセラーの方、傾聴を学んでいる方・・・すべての方にぜひ読んでいただきたいのが、今年一番の労作『はじめてのカウンセリング入門』(上 ―カウンセリングとは何か)(下 ―ほんものの傾聴を学ぶ)の2巻です。この2冊を読むと、カウンセリングの一番大切なことがわかる・・・そんな「決定版」のつもりで書いた5年越しの力作です。ぜひお読みください。
「想定外」の出来事が起きる、困難な時代を生き抜く知恵を学校でどう育てていくか、上智大学教授の奈須先生と対談した本も出ました。
『答えなき時代を生き抜く子どもの育成』(図書文化)です。
本書の「はじめに」で私はこう書きました。
私たちの人生には、無数の「答えなき問い」が存在している。
人生とは、日々、「答えなき問い」に向き合っていくプロセスである、と言ってもいい。
私たち大人も、つねに「答えなき問い」に取り囲まれている。
「このまま教師を続けるべきか、辞めるべきか」
「なかなかうまくいかない保護者や同僚と、どう折り合いをつけていくべきか」
「結婚すべきか、しないほうがいいか」
人生は、「答えなき問い」の連続である。
子どもたちの生活も「答えなき問い」に取り囲まれている。
「最近、ちょっかいを出してくる、あの子とどう仲よくしていけばいいのか」
「お母さんとお父さんの仲が悪そうだ。私は、どうすればいいんだろう……」
「答えなき問い」――それは、もちろん、こうした個人レベルのことに限られない。社会や世界全体が、「答えなき問い」で満ちている。
例えば、先の大震災や、原発事故。
計画停電のために、暗い部屋で過ごすなか、私たちは初めて、「原発事故が起こったらどうなるか」という「答えなき問い」を、これまで、本当は引き受けてはいなかったのだ、ということを、身をもって知ることができた。いや、否応なく知らしめられたのだ。
そのなかでふと、こんなつぶやきを、心の内で発した子どももいたことだろう。
「原発事故って、ほんとうに、想定外の出来事だったのだろうか。原発には、どんな問題があって、これから私たちは、原発問題にどうかかわっていけばいいのだろうか」
「停電があって、最初は暗くていやだったけど、だんだん慣れて、平気になってきた。電気がないと、幸福な社会を維持することは、本当にできないものだろうか」
震災で、多くの人が、かけがえのないいのちを奪われていく現実を目の当たりにして、ふと、こんなことを考えた人も少なくなかっただろう。
「なぜ、あの人たちが亡くなって、私が生きているのだろう」
「亡くなったのが、あの人たちで、私ではなかったのは、なぜなのだろう」
「私がいま、こうやって生きていること、これからも生きていくことには、どんな意味があるのだろう……」
教師であれば、子どもの内側でふと生まれた、こうした「答えなき問い」を拾い上げてほしい。そして、こうした子どもたちの「答えなき問い」を「自分自身ののっぴきならない問い」としても引き受けて、子どもたちと一緒に、考え続けてほしい。
それが、自分たちに問いかけられている「問い」に目隠しをして、見ないこと(見えていないこと)にしてしまう、私たち日本人の「悪癖」を、少しずつ、少しずつ、変えていくことにつながっていくだろう。
そしてそうした教育実践の積み重ねが、「答えなき問い」を、「他人事」としてではなく、「自分自身ののっぴきならない問い」として引き受けることのできる子どもたちを育てていく。それがひいては、地域を変え、社会を変え、世界を変えていくことにつながっていくのだ。
第二次世界大戦の折、ナチスの手によってアウシュビッツなどの収容所に捕虜として捕えられた精神科医のビクトール・フランクルは、こう語っている。
「人間が人生の意味は何かと問う前に、人生のほうが人間に問いを発してきている」「人間は、人生から問いかけられている存在であり、人生からの問いに答えなくてはならない。そしてその答えは、人生からの具体的な問いかけに対する具体的な答えでなくてはならない」(『医師による魂の癒し』)。
ここでフランクルの言う「人生からの問い」は、「世界からの問い」でもあり、「私たちの未来からの問い」でもある。
私たちの国は、そして私たちが生きているこの地球は、もうすぐ引き返すことができないところまで、追い込まれつつある。「持続可能な社会」「持続可能な世界」は、本当に、もう、あたりまえのことではなくなりつつある。
ストレートに言えば、「世界を救うことができるたった一つの方法」は、まず私たち大人自身が、そして、教室にいる子どもたちが、世界が私たちに投げかけてきている無数の「答えなき問い」を、「自分自身にとっての、のっぴきならない問い」として引き受け、問い続けていくことしかないのである。
「教室で起きる、ちょっとした子どもたちの変化」の積み重ねが、地域社会の変化に、日本の変化に、そして世界の変化につながっていく。
そう考えると、教師とは、何とやりがいのある仕事であろうか。
あなたの授業が、「この世界を変える、最初の一歩」になるのである。
本書が、そのきっかけ作りになれば、幸いである。
この本の共著者、奈須正裕先生は、ふだんは私とは異なるジャンルで仕事をされている方である。しかしなぜか、講演や対談でご一緒することが多かった。二人を知っている先生方からも「お二人はどこか、似てますね。何だか熱いところが……」などと言われることが多かった。
奈須先生と私が似ているのは、「この世界を、そして、この世界に生きている人間を、何とか変えていきたい」という「志」を共有しているからだと、私は思っている。
その意味で、奈須先生は私の「同志」である。
もちろん、この本を読んで、私たちと一緒に「子どもたちを変えていきたい」「この社会を、答えなき問いに目隠しをせず、本気で問い続ける社会に変えていきたい」と思っておられるあなたも、私たちの「同志」である。
さぁ、世界を変えていこう!
そしてそれは、教師であるあなたが「答えなき問い」を「自分自身の問い」として引き受けること、そして、授業中に子どもたちがふと発してくる「答えなき問い」を、ていねいに
拾い上げることから、始まるのだ–